「サルサ」と聞いたら、音楽や踊りで有名なものか、日本ではディップとして親しまれているフレッシュトマトをベースとしたサルサメヒカーナを連想するのではないでしょうか。豊かな陽射しに恵まれたメキシコ生まれの食べる方のサルサは、焼いた肉との相性が良く、パクチーの青々しい香りも相まって食欲を増進してくれます。オリーブオイルを加えて蒸したエビと合わせるのもお勧めです。
冒頭の写真はパクチーの分量を多めにとった混ぜる前のサルサです。レモンは皮に豊かな芳香があるので、全体を撹拌して香りをうつしてから取り除きました(愛媛県産ノーワックス)。
このメキシコのフレッシュトマト系サルサには様々な呼び名があります。最も情報量の多い「ピコ デ ガヨ」で統一したいところですが、この名称ではピンと来ない方も多数いらっしゃると思いますので、今回の記事では「サルサメヒカーナ」として進めてゆきます。念のためGoogleメキシコ検索で情報量が多い順に並べておきます。
①ピコ デ ガヨ (雄鶏のくちばし) pico de gallo
②サルサ ロハ (赤いソース。トマトベースの暖かいソースを指す場合もある) salsa roja
③サルサ メヒカーナ (メキシコのソース) salsa Mexicana
④サルサ クルダ (生のソース) salsa cruda
それでは2014年にラテンレストラン「TORO TOKYO」を銀座にオープンしたメキシコシティー出身の有名シェフ、リチャード氏(Richard Sandoval)による伝統的なサルサメヒカーナのレシピを見てみましょう(作り方としては、唐辛子の種を除くということ以外は包丁で刻んで混ぜるだけですので省略します)。
【材料】原文を引用しておきます
トマト 2個
白スペイン玉ねぎ小玉 １個
チレセラーノ(メキシコの青唐辛子の一種) 2本
にんにく 小さじ1
パクチー 大さじ1
レモン果汁 小さじ1
塩胡椒 適量
※アメリカ式 大さじ1=14.78ml 小さじ1=4.93ml
INGREDIENTS
2 tomatoes, cored and chopped
1 small white spanish onion, chopped
2 fresh serrano chiles, stemmed, seeded and chopped
1 teaspoon Chopped Garlic
1 tablespoon chopped fresh cilantro
1 teaspoon freshly squeezed lemon juice
*
Salt and pepper, to taste
the latin kitchen Richard Sandoval's Salsa Roja
レシピにはありませんでしたが、最低でも1時間程冷蔵庫で寝かせると味が馴染み、全体にまとまりがでて美味しくなるように思います。後述する渡辺氏は5〜6時間寝かすことを推奨しています。
ざっくりと「トマト2 : 玉ねぎ1」の分量のこのレシピは実にシンプル。しかしチレセラーノと白玉ねぎを普通のスーパーで見つけるのは困難です。それらを通販で購入することは出来ますが、身近な物で代用しても良いかと思います。
例えばチレセラーノの代わりに国産の青唐辛子とピーマンを用いる方法を代官山の老舗メキシコ料理店、La Casitaのオーナーシェフである渡辺氏がご自身の著書「魅力のメキシコ料理 メキシコ料理の調理技術のすべて」内で提案しています(La Casitaではメキシコ直輸入の唐辛子を使用しているようです)。セラーノ唐辛子2本の代わりとしては青唐辛子1本とピーマン1個ぐらいが妥当だと思います。青唐辛子が手に入らない時はしかたないのでタバスコやデスソース等のホットソースで代用する、あるいはカルディーで酢漬けのハラペーニョが売っていたりするので、それを合わせても良いでしょう。
次に生食に適した白玉ねぎ。これは新玉ねぎで代用できますが、新玉ねぎも個体差が有り、中には普通の玉ねぎのように辛い物もありますので、先に味見をしておくことをお勧めします。もし辛かった場合はお酢でマリネすると辛味が和らぎます。それでも辛さが気になる場合は湯引きをするか、水にさらすと良いでしょう。私はまだ試しておりませんが、ハウス食品が開発した辛くない玉ねぎ「スマイルボール」を使ってみるのもよいかもしれません。
トマトに関しては湯むきをするレシピもあります。お手持ちのトマトの皮が厚い、または歯に挟まったりするのがうっとおしく感じるようでしたら湯むきをし、気にならないようであればしなくても構いません。ここは感じるままに臨機応変でいきましょう。プチトマトは味が濃いものが多いので、サルサメヒカーナにむいていると思います。レモンではなくライムでも美味しく仕上がります。紫玉ねぎを用いてもよいでしょう。中々失敗しにくい簡単なソースですので、ぜひお試し下さい。