【応用無限】サバイヨンの作り方の基本




現代ではソースとして知られている「サバイヨン」。それはもともとイタリア起源の古典的なカクテルであり、日本で言うところの卵酒のような飲み物だったようです。それがフランスに渡りソースとして進化し、スイーツや料理に用いられるようになりました。

冒頭の動画では凄くシンプルかつ古典的なサバイヨンの作り方を紹介しております。材料は卵黄、上白糖、白ワイン(マルサラワインやシェリー酒でもよい)。作り方は、卵黄と上白糖を泡立て器で混ぜ、弱火で穏やかに沸いたお湯の湯気にボールをあてながら空気を取り込むように混ぜてゆく。勢い良く泡立て器を動かしながら15ccの白ワインを加える。この作業を繰り返し、狙った泡立ちになったらグラスに注ぐ。このような具合です。卵の殻の混入が心配でしたら、卵黄と上白糖を撹拌したら一度漉すと良いでしょう。材料は以下の通りです。


卵黄 4個
上白糖 75g
白ワイン 60cc

この出来上がったサバイヨンをカットした苺などの果物にかけるだけで一皿できてしまいますから、ある意味でお手軽なんですが、撹拌する際の注意点が一つだけ有ります。それは熱がまわり過ぎて狙いよりかたい質感になってしまった場合に後戻りができないということです。前回の投稿、「ローマの有名シェフ達によるカルボナーラレシピ」でも書きましたが、卵黄は65℃以上の熱が加わると凝固を始めるので、無闇に温めるとごわごわしたサバイヨンができあがります。ですので少し面倒かもしれませんが、全体がふんわりとし始めたら湯気から遠ざけて撹拌しながら様子を見て、また湯気にあてながら作業をおこなう。これを繰り返すと失敗するリスクが低減します。特に初挑戦の方はこのように慎重におこなうことをお勧めします。

そして、上記の材料の上白糖を塩に変えると今度は野菜と相性の良いサバイヨンになります。それは口の中で消えてゆく香りの良いマヨネーズといったところでしょうか。私は蒸したアスパラや、プチトマトにそれを合わせるのが好きです。材料を最小限にしぼった私的な塩味系のサバイヨンのレシピも載せておきます。

(材料)
卵黄 1個
白ワイン 40cc
塩 少々
白胡椒 少々

(作り方)
アルコールは飛ばしてしまいます。フライパンに白ワイン40ccを入れ、強火にかけます。フライパンを傾けたりして引火を誘発します。炎が上がるので気を付けて下さい。アルコールがほとんど揮発したらそれを冷ましておきます。ボールに卵黄を入れ撹拌し、アルコールが抜けて常温に戻った白ワインを少しずつ足しつつ先程の説明のように湯気にあてながら泡立ててゆき、泡に角が立つぐらいのかたさになったらボールを湯気から外し、味見しながら塩と白胡椒を加えて混ぜて出来上がりです。塩分濃度は2%未満に収まるようにすると良いかと思います(目安としてキューピーマヨネーズの塩分濃度が2%)。



写真は今日のお昼に作ったサバイヨンです。これのアレンジは無限に出来ます。今回のレシピは最小限にとどめましたが、レモン汁を入れたり、ボールに切ったにんにくの断面をこすりつけたり、ハーブを混ぜたりすることが多いです。お酒もベルモットを用いたりもします。実際にフランスの有名シェフ達のレシピを見てまわりましたが、「卵黄と何かをやさしく温めながら泡立てる」というルールだけは共通していて、それ以外は完全に独自のアレンジを施しておりました。

私的にはお酒が入らないとサバイヨンとは言えないのかと思いきや、水とバターと卵黄というレシピもあり、前述の通り「卵黄と何かをやさしく温めながら泡立てる」というルール以外は自由ですので、基本の作り方を覚えたら独自のサバイヨンを追求してみてはいかがでしょうか。応用は無限ですので。

それでは最後に、家庭ではあまり参考にならないかもしれないレシピをご紹介します。世界的に高名なシェフ、アラン・デュカス氏が牡蠣のグラタン用に考案した、シャンパンのサバイヨンレシピです。

シャンパンのサバイヨン

シャンパン 150cc
卵黄 6個
澄ましバター 100g

仕上げ
粗塩

原文を引用しておきます。

Sabayon au champagne

15 cl de champagne
6 jaunes d’œufs
100 g de beurre doux clarifié

Finition

Gros sel

L'Académie du Goût HUÎTRES GRATINÉES AU CHAMPAGNE