家庭で出来る範囲で焼き魚を極める! ホッケ編


焼き魚って難しいですよね。火が入り過ぎてしまってパサパサになったり、ギリギリを狙ったら半生になってしまったり。室温や身の厚み、水分量、熱量などのあらゆる条件が連鎖するので絶対に成功する方法を解説するのはほぼ不可能だと思います(低温調理ならあり得なくもないかも)。ですので今回は一例として「家庭で出来る範囲で焼き魚を極める! ホッケ編」を書いてみようかと思います。参考にする程度の気持ちで読んで下さい。


用意したのはスーパーで普通に売っている一夜干しの縞ホッケの半身二枚。ざっくりとした塩分濃度の表記があれば塩打ちが楽になるはずですが、そんなことも言ってられないので、臭みを取る程度の塩を皮目に打ちます。二枚に対して2g程度の「伯方の塩 焼き塩」をまんべんなく振り掛け、30分たったら表面に染み出た水分をキッチンペーパーで拭き取ります(本日の室温約20°)。

グリルは機種によっては網の高さを変えられる物があると思います。その場合、網は低い位置にセットして下さい。近い火で一気に焼きたいところですが、炎が近いと焼きムラが出やすいので今回は最初から最後まで遠火の強火でいきます。

グリルを火力全開にして五分間温めておき、その間にキャノーラオイルを皮目全体に行き渡るように塗ります。魚のタンパク質は低温で固まってしまうので、身に熱が回りすぎてパサパサにならないように表面だけをカリッと焼くのが狙いです。グリルの網にも油を塗っておくとくっ付き難くなります。

皮目を下にして熱源の直下にくるようにホッケを並べて下さい。ここからは眼が頼りになってきます。よく観察していると、身の透明度が落ちてきて白色が強くなってきたタイミング、キツネ色に変成するメイラード反応が始まる手前がわかると思います。表面は固まったけれども白色にもっとも近いタイミング。ここでひっくり返します。

皮目には油が塗ってある為、想像よりも早く焼き上がるので眼を離さないで下さい。徐々に表面が乾いてきて褐色化してゆくのが解るはずです。一般的なグリルでは中が少し見えにくいかと思いますが、チェックの為に開閉を繰り返すとグリル内の温度が極端に下がるので、なるべく開けないか、少しだけ開けて覗くぐらいにとどめた方が良い結果が得られる事が多いです。


黒い焦げが出る手前、皮が完全に乾いて縮んだタイミングでまたひっくり返します。今度は身が褐色になるまで焼いてゆきます。美味しそうなキツネ色になった時点で火を止め、グリルの中で五分間保温します。これで完成です。写真では解りづらいかもしれませんが、箸を骨に押し当てると旨味を含んだ水たまりが表面に出来るぐらいにしっとりと仕上がります。是非ともお試し下さい。